一般に流通しているNAVIの没入ジャックイン機能は、あくまで視覚と聴覚レベルのものだ。私の所属している開発部では、そこから一歩進んだ|≪アドヴァンスド≫モデルを開発することを目標としていた。
 いや、実際には基礎理論と試作品は、下手をすればNAVIの普及以前にすでに完成していた。では、なぜそこから開発や一般流通に発展していかなかったか。
 答えは簡単だ。そのシステムには重大な欠陥があったからだ。
 新モデルとなった開発コード「ネクサス6」は、あくまで「そう見える」段階の初期VR機器から発展させ、ユーザー個人個人の脳内マップをエミュレートすることで、視覚や聴覚だけでなく触覚や嗅覚、触覚までをも含めた五感、いや意識そのものをシステム内部に構築されたメタバース内に再構築するというものだった。……つまり、人体実験を前提としたシステムだった。
 何も馬鹿正直に世間に向けて「私たちは新製品のための人体実験を行っています」などと公表する必要などないし、「人体実験にご協力ください」と市民に強力を仰ぐ必要もない。
 我々が取った手段は、新製品のモニタと偽ってデータ収集用のデバイスを一般に流通させ、そこから大量の脳内マップデータを回収するというものだった。この方法なら無作為に必要なデータを集めることができるからだ。
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紅楼夢表紙お礼SSの続き
初公開日: 2022年01月06日
最終更新日: 2022年01月06日
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紅楼夢表紙を描いてくれたなまねこさんへのお礼SSの下書きを書いていきます。