女三人でラッコを見に行くことになった。野生のラッコである。
前日に相談したのは双眼鏡の有無と出発時間だけだった。ひとりずつ拾い集めるように車に乗り込んで、すぐに岬へ、とはならず。ソフトクリームを食べようと寄り道を決める。
嫌な予感がしつつも到着してみると、やはりというか冬季休業だった。ゴールデンウィークまでお休みらしい。続く二件目のカフェはしっかり営業中。天気がいいとはいえ、さすがにもう外でソフトクリームは寒い。店内で食べられるのはありがたかった。
ミニとレギュラーサイズがあり、寒さを考慮してミニサイズで。ところがやってきた商品はどう見てもレギュラーサイズなのである。大きい、というか普通。ミニではない。それならレギュラーサイズはいったいどれくらいの大きさなのかと戦々恐々しつつ、いざ目的の岬へ。
風もなく穏やかな日だと思っていたのは陸地だけだったのか。荒々しい波に迎えられた。激しい音が海風に乗って聞こえてくる。某映画会社のロゴが見えるようだった。
たぶんあのへんにいるはず、と言いながら海を眺めてシルエットを探す。
「あれは?」「いや、鳥」
ひとつの双眼鏡を順番に覗いていた。それを繰り返しながら先端へ向かう。
「あ、あれ! たぶんあれ!」「あれ?」「あれ!」
あれ、というのが一体どれを指すのか。私の思うあれが、他の人のあれと同じなのか。わからないけれどラッコは発見された。しかし双眼鏡を担当していた人が、ラッコがどういう見た目なのかわからないというのだ。鳥ではないことは確か、らしい。
一悶着あったのち、別のひとりに双眼鏡は手渡された。そのうしろでラッコを画像検索している。目の前に本物がいるのに、だ。
一時間くらい岬にいただろうか。知らず知らずのうちに体は寒さで縮こまっていた。今日は温泉へ行こうと決意し、帰路につく。ずっと続く暗闇から、遠く、列車のライトがやってくる。静かな森に遮断機の音が響いていた。