Divine-nonexistence-
 俺が、俺だということを認識した最初の日のことを、俺は覚えていない。
 月華の少年。それが、俺こと、ジェット・オルデンが世界に認識されている名である。
***
「あぁ……そいつ、ジェット・オルデンだよ。ほら、あの、救世主の」
「ジェット・オルデン? あぁ、月華の方」
「明星だの。月華だの。救世主とやらがいるらしいが、”救世主”とやらがいるらしいが、”救世主”なんていうなら、とっとと、この世界をすくってくれってんだよ。なぁ?」
 早朝、食堂に入って早々、図体のでかい男達に絡まれた。
 朝っぱらから暇なのか? こいつら。
 あまりに日常すぎて、慣れ始まってしまっているが、こんなことに慣れてしまっていていいのだろうかとふと思う。
 思うだけで、慣れててやり返そうという気持ちすら湧かない。
「おい、聞いてんのか?」
 一番でかい男が何か言っている。
 16歳の体は不便だなと他人事のように思う。
 こんな奴らに見下ろされなきゃならないのだから。
「悪いが、聞いてなかった。”救世主”のことを知っているなら、もちろん、予言の内容だって知っているだろ? 俺は、同族を滅ぼすとしか言われていない。しかも、所詮は予言。そんなもんは迷信だろ。一人の人間が現れたくらいで救われる世界なら、とうの昔に救われてる。俺にかまってる暇があるなら、そのでかい体の使い方を真剣に考えろよ。世界を救うのは、予言では俺かも知れんが、世界を守るのはお前らの仕事だろ」
 と俺が奴らを見上げれば、返す言葉を失ったのか、口をパクパクさせている。
 これ以上、こいつらの前にいてもいいことなんてないなと、俺は3人を無視して、食堂の席を探すことにした。
 一番でかい男が悔しそうに何か言っていたが、聞き取る気がなかったからか、まともな言語として聞き取れなかった。
 適当に席を選び、座る。
 朝から、面倒なもんに絡まれた。
Latest / 18:18
14:46
燕弩
ちょっと休憩します。
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向き
短編書き
初公開日: 2021年03月06日
最終更新日: 2021年03月06日
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自創作「Divine」の短編を書いてます。