「義勇さん、あそこ入ってもいいですか?」
炭治郎が指差した、立ち並ぶ土産屋の一つ。色とりどりの小さな和飾りたちが、穏やかな風に気持ちよさそうに揺れている。雑貨を売る店だろうか。土産でも選ぼうかと思っていた二人には、ちょうどよかった。
「行くか」
じっとこちらを見つめた赫灼が、花咲くように微笑む。弾むような足取りの炭治郎を、転ばぬよう気を使いながら自然と義勇の足も早まるのだった。
「これ、お店にあったら可愛いだろうなぁ」
「買うか?」
「待ってください! ……ううん、こっちの方がいいかなぁ。あ、でもこれも……」
「全部買ってやる」
「駄目ですよ! 実家へのお土産は自分で選んで買います!」
「……そうか」
炭治郎の目が、再び商品へと戻る。店先にもあった、数々の吊るし飾り。温かな竈門ベーカリーに、手作りの風合い漂うこれは確かに似合うだろう。店にも、炭治郎の家族にも世話になっている分買ってやりたかったのだが、当の本人に却下されてしまった。炭治郎の背中をぼんやり眺めていると、振り向いた赫灼が困ったような笑みを浮かべた。
「そんな残念な匂いさせないで下さいよ」
「……そんな匂いさせてない」
「……折角だから、一番いいの選びたいんです。時間、かかっちゃうかもしれないけど」
「気にしない」
深緑色の外套ごと、そっと炭治郎を包み込む。
「待ってる。ずっと」
「あ! 義勇さんも一個選んでくれませんか?」
「……構わないが、何故?」
「二つくらい飾ったら可愛いだろうなあと思いまして。それに……」
「それに?」
「……一緒に選んだものが飾ってあると、何か、その、嬉しいっていうか。旅行のこと、いつも思い出せっ! って! 義勇さん!?」
目の前ではにかむ可愛い生き物を、ぎゅっとその腕の中に閉じ込める。可愛すぎてほかの人間になど見せられない。見せたくない。言葉も忘れ、義勇は暫く炭治郎を抱きしめたまま動けなかった。
「あとは、何買いましょうか?」
「そうだな……」
各々家族への土産を選び、しばし店内をぶらつく。綺麗に並んだ小物を眺めていると、ふと見覚えのある柄が目に入る。
「これって、義勇さんの着物と同じ」
「そうなんです。着物屋さんとのコラボでして」
近くにいた店員が、にこりと商品の説明を始める。
「お好きなぬいぐるみとお着物を組み合わせて、世界に一つのぬいぐるみを作成することができますが、いかがですか?」
「二つ貰おう」
「かしこまりました」
「ぎ、義勇さん!?」
即決した義勇の袖をくいくいと炭治郎がつかむ。目をぱちぱちさせた炭治郎へ、義勇はニコリ微笑み耳にそっと顔を寄せた。
「俺も、思い出の品が欲しい。炭治郎との、旅行の思い出」
「!!」
「一緒に選ばないか?」
小さく耳元でリップ音を鳴らすと、真っ赤になった顔がこくこくと頷く。そうして二人は、互いによく似た狐と狸のぬいぐるみを、思い出がつまる柄で彩るのだった。
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くろね
開始しまーす
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くろね
会話文書くのが好き
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くろね
地の文とのバランスくそ難しいけど
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くろね
昔は文字数1000すら唸ってたのに今は割とすぐ超える
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くろね
ただし内容がまとまってるかは別、推敲って大事
60:24
くろね
終了! あとは推敲します。お付き合いありがとうございました!
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義炭旅行記2日目⑦ 手のひらサイズの思い出どうぞ
初公開日: 2021年02月20日
最終更新日: 2021年02月20日
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コメント
義炭が京都を旅行するシリーズ。
過去作はツイッターからどうそ。
ふりつみし証、とけぬ想い
・京旅行義炭、温泉旅行・風呂上がりにいちゃついてるだけ。 ・成人向け
くろね
配信中に1作書き上げたいテキストライブ
書き上げたいけど、書き上げるとは言っていない。ともあれ、頑張って書いてみます。
rui76