【素直じゃない人】
とある日、食材などの調達をしようとノエルはセラとホープを連れて近くの森に出かけていた。
「とりゃ!」
ノエルの一撃が中型モンスターに致命傷を与え、そのまま動かなくなった。
「ノエルはやっぱり狩りが上手いね♪」
「我ながら上出来の獲物だな。こいつの肉も食べれるんだぞ」
「きゃあ!」
小さなトカゲみたいな魔物を出したが驚かれてしまった。
「ノエル君、セラさんが引いてますよ」
「これ美味いんだけどなぁ。じゃ、そろそろ帰ろうか」
狩った獲物を一通り袋に入れ足並みを揃えると茂みから殺気を感じた。
「待ってくれ。何かいる」
その茂みに恐る恐る近づくと、中から無数のツタがノエルに絡みとって来た。逃げようと試みるが遅かった。そしてほんたいの大きな花も出現した。
「しまった…!」
「ノエル!」「ノエル君!」
二人が攻撃を仕掛けるが器用に避けられる。
「どうしよう…」
「助けを呼ぶしかないようですね」
「ノエル〜呼んでくるからもう少し頑張って!」
「おいおい、無茶な事を言うなよ…」
油断してるとツタが動き始め、くすぐるような動きをして来た。
「な、何…?あは、あははは!くすぐったい〜」
そのまま本体の前に差し出され、ツタの動きが変わったように見えた。それは上着の下に潜るように張って来たのだ。
「え…?何だよこれ…何しようとしてんだよ!このスケベ植物〜!!」
万事休すかと思った瞬間、何者かの斬撃がツタを切り崩した。そのまま支える物が失くなったノエルは落下してしまう。
だが地面に打ち付ける前に大きな腕に抱き抱えられた。
「無様な物だな」
「か、カイアス…何で…!?」
「大丈夫ですか!?」
心配したホープとセラが駆けつけた。
「平気。それより…」
「ゆっくり話すのは後になりそうだな」
植物の花が大きく口を開けてこちらを威嚇している。武器を構えて応戦した。
「この…さっきのお返しだ!」
ノエルとカイアスの一撃が花を切り裂いた。しかし最後の抵抗でツタがノエルの足に絡み付き勢い良く投げ捨てた。
「うわあああ!」
「ノエル君!?」
運良く茂みの中に落ちたので怪我はなかった。
「災難だったね…」
「ごめん、怪我したみたいだ。足が痛い…」
「見せて下さい…ちょっと捻挫しちゃったみたいですね。立てますか?」
「無理っぽい…」
「参ったな。僕らではノエル君を抱える事はできませんし…」
「私がやろう。おぶってやる」
「は!?」
「ここで一人で助けを待つのも危険だろう。どうするのだ?」
「仕方ないな…」
二人の手を借りてカイアスの背にもたれた。そのまま歩き出す。
「こうすると子供の頃を思い出すな」
「心当たりがあるのか?」
「ないけど。でも俺が負傷したら手貸してくれたろ?」
「そうだったな」
「質問。何で俺を助けてくれたんだ?」
「…アレが気に入らなかっただけだ」
「?」
「植物の分際で君に触れようとしていたからだ」
『あれ?これって…』
「間違ってたらごめん。カイアスでも妬く事とかあるのか?」
「嫉妬など醜い感情だな。人の物に手を出すから滅したまでだ」
「それを嫉妬って言うような気がするんだけど…それより人の物って、俺っていつからそうなったんだ?」
痛い所を突かれてるせいか口数が減っていく。
「…今日の君はやけに質問が多いな」
「だって…嬉しいから」
「何故だ?」
「俺の事見てくれてるって、思っていい事だから」
「好きにしたらいい…飽くまで性欲処理の範囲で、だ」
「それでもいいよ…一緒に居てくれるなら」
本当はこのまま争わなくて済むのが1番良いんだけど。どう足掻いても無理な所まで来てるからカイアスも自分を譲らないのだろう。それでも俺はまだ信じていたい部分があるんだ…
ーーーーーーーーーーー
飛空挺に戻り皆に事情を説明した後、手当をして貰い足に包帯が巻かれた。
代わりに採ってきた獲物で調理された夕食を部屋まで持ってきて貰った。
「へぇ〜結構美味しそうに出来上がってるじゃないか」
「まだ痛むか?」
「少しだけ。それより帰らないのか?」
「そんなに帰って欲しいのか?」
「ううん、寧ろ一緒に居たい」
「なら別にいいだろう」
「これ食べるか?」
「いい。君が仕留めた獲物だろう?」
「腹減るかと思って…本当何考えてるか分からないのは変わってないな」
食事を口に運ぶと美味が広がった。
「美味い!カイアスも食べたらいいのに」
「いいと言ってるだろう」
「もしかして…襲おうとしてる?」
「その状態でそんな事はしない」
「ならいいけど。もう遅いし泊まってけば?」
「それこそ君を襲うかもしれないぞ」
「それは困るな。でもキスだけならしてもいい」
「そうか…」
頬に手を添えられ浅いキスをする。
食事中だったのでノエルが食べてた物の味がした。
「トマトの味がするな」
「なぁ、カイアス。本当は俺…」
「共に居たいと言うのなら無理な話だと言っただろう?」
「そうだけどさ。それでも願わずにはいられなくて…」
「先程も言っただろう。性欲処理の範囲だと…」
「そうか、ごめん…」
「謝るな」
そう言うとノエルの手を取り甲にもキスをした。
「また様子を見に来る」
そう言って、いつものように歪みを作ってそこから帰っていった。部屋にはノエル一人になったが、その顔は赤く染まっていた。
「何だよそれ…今までそんな事しなかったのに」
残ったスープを飲み干す。
「少し冷めちゃった…バカか俺は…」
『やっぱり好き…なんだよなぁ…』
この悩みとはまだまだ付き合う事になりそうだ。
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