診断メーカー様お題「創作のお題を決めましょう」より
お題:「余命365日の恋」
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自分から言っといてなんだけど、最初は耳を疑ったね。
「俺、ダグの恋人になりたい!」
「いいよ」
「即答かよ!」
だってこっちは玉砕覚悟だったからさ、思わずツッコミの一つも入るっつうの。あ、もしかしてこれ、またいつもみたいに揶揄われてる?
「……本気?」
「うん」
「本当に?マジで?」
「どれだけ信用ないんだ俺。本当だよ」
ってな感じで、あっさりとOKを貰って文字通りぴょんぴょん飛び跳ねて喜ぶ俺に、ダグが一言。
「365日だけでいい?」
今思えば、なんだその条件、って疑問に思うべきところだったんだろうけど、浮かれて頭の中お花畑状態だったのと、「ダグの気が変わらねえうちに!!」ってちょっと焦っていたのもあって、うんうんと頷いたのはほとんど反射的。そんな俺に、ダグがほんのちょっとだけ笑った。
そんなわけで、俺たちの恋愛は、一年の期限付きだ。
***
「そういえばキリルさん、そろそろ一年じゃないですか?」
ケイの台詞に、頬張っていたドーナツがぐ、と鈍い音を立てて喉に詰まった。ぱたぱたと彷徨わせた手に、慌てたようにコップを握らされる。
ケイに同期のよしみで恋愛相談に乗ってもらったのはちょうど一年前のこと。今日みたいに二人でランチしてる時に、ぽろっと漏らした愚痴みたいな話を親身になって聞いてくれて、「キリルさんなら絶対、ぜーったい大丈夫ですから!」ってどーんと背中を押してもらった勢いが、あの告白につながったんだ。
OKもらったぜ!って報告した時は、まるで自分のことのように喜んでくれた。でも、嬉しそうに笑う顔を見てたら、まさか一年の期間限定だなんて言えるはずもなく。結局、それは秘密のままだ。
俺とダグはすっかり仲間内では公認の仲ってヤツになってて、たぶん普通に、恋人同士だったと思う。仕事帰りには一緒に飯食ったり飲みに行ったり、休日はデートだってした。お互いの誕生日や、クリスマスにバレンタイン。そういうイベントだって、ダグは意外とマメにこなすことも、恋人になってから初めて知ったことだ。
それに、体の相性だって悪くなかった……はず。たぶん。あれ、もしかしてそう思ってんの俺だけ……?いやいや、相性悪かったら次の日に足腰立たなくなるまでがっつかれたりしねえよな!?
まあ、それはともかく、ディーナには「四六時中ひっついててよく飽きねえな」なんて呆れられるけれど、とんでもない。飽きるどころか、ダグの知らない一面を知るたびに、どんどん好きになる。
ーーそう、一年の期限付きだなんて、忘れそうになるくらい。実際、二人の間で一度もその話題は出なかったし、俺も口には出さないようにしてた。
ダグと過ごす毎日が楽しくて、嬉しくて。喧嘩もするけど、すぐに仲直りして、そのたびにまた、幸せが増えて。
(……でも)
そういえばダグ、最近付き合い悪い。先約やら別件やらで、休日に別行動になることが増えて、うーん、最後にデートしたのいつだったっけ。
仕事はきっちりこなすけれど(あ、報告書以外)でも心ここにあらず、とばかりにぼんやりして、何か心配事でもあんのか?って訊いても適当にはぐらかされる。
まだ一年経ってねえんだけどな……と、思わず飛び出しそうになるため息を、ケイから手渡されたコップの水とともに飲み干した。
「当日は、何かお祝いとかするんですか?」
「いや、別に」
「え!?だって記念日じゃないですか!」
「そうだけど……ダグは忘れてんじゃねえかな、あんな感じだし」
ちょっとだけ狡い言い方をした。
本当は、そうであってほしい、っていう、俺のずっと抱えてきた願望だ。
***
次の非番はダグも一緒で、久しぶりにデートしよう、ということになった。「巡査の行きたいところに行こう。考えといて」と言われて、嬉しさに舞い上がると同時に心臓がどきりと嫌な跳ね方をする。……だって、その日はちょうど、一年目を迎える前日だからだ。
つまり、ダグが一年の期限を覚えていたらこれが最後のデート。
それなら、とリクエストしたのは遊園地。ダグと恋人同士になって初めてデートした場所をリクエストしたことに、ダグは気付いているんだろうか。
「なあ、巡査」
ダグが少しだけ改まって切り出したのは、奇跡的に晴れた当日、散々遊び倒して「最後はこれ!」と乗った観覧車の中だった。ぎゅ、と膝に置いた拳を握りしめる。
「明日、何の日だか覚えてる?」
「……覚えてる」
「そう?ならいいんだ。一年、早かったな」
「だな。……ありがとな、ダグ」
顔を上げると、穏やかに微笑んだダグの横顔を夕陽が照らしていた。
ふたつの太陽があまりにも眩しかったから、その所為にすればいいや、なんて、そんなことを考えたのに、不思議と涙は出なかった。
「送ろうか?」
「いや、いい」
きっとうまく笑えたと思う。
じゃあな、と遊園地のゲート前で手を振って、あとはひたすらアパート目指して走った。
息が切れて苦しくて、心臓が口から飛び出してきそうだったけれど、でも足を止めずに、そのまま自分の部屋へ飛び込んで、勢いよくドアを閉める。
体が言うことを聞いたのはそこまでで、あとは膝が崩れるままに、その場にへたりこんだ。
だって、知ってた。
ダグの部屋のカレンダー、明日の日付にきっちりと丸がついてるのも、それを眺めるダグが、指折り残りの日数を数えているのだって。
(……変なとこで、几帳面なんだよ、アンタは)
一年の期限付き。忘れてなかったどころかダメ押しされた。
やっぱりちょっとだけ泣いた。
(つづく/今日はここまでです)
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診断メーカー様お題のやつを書いていくよ/dgkr
初公開日: 2020年05月05日
最終更新日: 2020年05月05日
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コメント
2026/7/17 待ち時間
MDZS瑶と曦現代転生IFショートショート
ぴぉ
2026/07/08
お試してきすとらいぶ。へしあた。
兎喜(とき)