「いい面してんな? 晶」
「……この状況でいい面はしていないと思います」
ブラッドリーに因縁を持った魔法使いに悪口言われてちょっと気が立ってる晶さんと、自分の見ている間に奪われてイラついているブラッドリー。
久しぶりにキレる晶さん。
口の中が乾いて、乾いた唇が切れた。
「(罵詈雑言)」
ちょっと黙ってくれやしないだろうか。睨みつければたじろぐ。
「へえ、アイツはこういうオンナが好みか」
掴まれた顎が軋む。それでも睨みつけることはやめない。
「パッと見は何処にでもいるお嬢さんかと思ったが、意外と利かん気なお嬢さんだったみたいだ」
「……どうも」
「アイツの傍にいればアイツの性格も移るのか?」
ダメだ。頭に血がのぼって普段の正常な思考が動いてくれない。信頼している魔法使いを貶されて冷静でいられる賢者がいたらお目にかかりたいくらいだ。
「アイツが気に入った女なんて煮るなり焼くなりするだけの道具だと考えていたが、アンタいいな」
這い上がった嫌悪感を振り払うように距離を取ろうとしたが、強い力が私を逃がすことはない。
「時間潰しになるかわからねえが――」
「よう。面白いことになってんじゃねえか」
「⁉」
「《アドノポテンスム》」
「……何も私の上でやることないじゃないですか」
「文句はコイツに言えよ」
石になった彼はもう物言わない。
「で、イイ面してんな? 晶」
「この状況でいい面はしていないと思います」
「気が立ってんのか?」
「……少しばかり」
「まあわからなくはねえけどよ」
気が強すぎない? 大丈夫? 晶さん、悲しみこそすれ怒らなくない???