僕が風呂から上がってくると、師匠はまるで人間みたいにソファに腰かけて、深くうなだれていた。僕はあの有名な銅像を思い出した。名前を忘れちゃったけど、地獄を覗き込んで苦悩している男の人のやつだ。
人間は暇なとき、ぼんやりテレビを眺めたり、本を読んだり、音楽を聴いたり、うとうとしたりするものだ。普通の家庭用アンドロイドがどうなのかは知らないけど、この自称最新アンドロイドは一人で時間をもて余しているときもそれなりに人間らしい行動をする。だからこんないかにも具合の悪そうな、不機嫌そうなポーズのまま固まっているのが不思議で、僕は師匠に近づいて見た。……お尻の下に充電用パネルが敷いてある。
「師匠?」
「……あ? お前もう風呂出たの」
「うん。……少しも動かないから眠ってるのかと思いました」
「ちょっと考えててさ。さっきお前の言ってたこととか……あっちの霊幻のこととか」
師匠は歯切れ悪くぼそぼそ言ったあとで、気を取り直してパッと立ち上がった。
「さあもう寝るんだろ。体があったまってるうちに寝ちまえ。明日も同じ時間に起こせばいいよな?」
「え? 霊幻さんのことって?」
師匠はなんとも言えない表情で僕を見下ろした。
「お前寝れなくなりそうだから明日教えようかな」
「そんな言い方されると余計に気になるんですけど」
「……モブ、覚えてるか? 今、俺たちの会話ログ、あいつに筒抜けなんだぞ」
「……あっ」と全く無意識に声が漏れた。
「やっぱりか」
師匠は話のついでのように、乾かしたてでボサボサの僕の髪を押し撫でた。
「ま、いいけどな。空気読んで俺に防水機能でも追加してくれりゃ」
「え、はい?」
師匠はにやりと楽しげな笑いを見せた。
「キスしただろ? さっきみたいに唇の表面なら問題ないが、口の中はちょっとまずい。内臓が濡れたらショートする可能性があるし、掃除もめんどうだし」
昼間会ったばかりの霊幻さんの呆れた顔が目に浮かんで、僕は赤くなったり青くなったりした。あの人はアンドロイド相手にそういうことをする文化そのものには慣れていそうだけど、そのアンドロイドが師匠であるなら話は別だ。かなり嫌がるに違いない。彼の身になって考えると僕だって戸惑う。っていうか僕、間接的に霊幻さんにセクハラしちゃったんじゃないかな。
「……そんなに悩まれると俺も困るんだが。お前俺をびっしょびしょにしたい願望でもあったのか」
「な――ないです。ないですよ、師匠が言い出したんですからね、今の!」
4/18 続き 前回の直しから よし行くぞ
恐山とにぅまのミル貝電波 聞きながらやってるので(ので?)ぜんぜん進まない
なんか 言わせる予定の余計な会話があった気がするが 寝たら忘れた
4/24 続き
これ使ってるあいだどうも進まず、
手癖で即興二次を開けて一時間設定して書きだしたらちょっと進んじまったのですごく途中から
冒頭も途中だけど
配信というか、ひととおり書いたあと倍速で再生すると他の人が書いたみたいに見えて楽しい
僕と一緒に散歩するのが楽しいと気づいたのかな、と思ったがそうではないようだ。なぜなら「楽しいですか」と尋ねたときの返答が「はっ?」だったからだ。師匠がきょとんとして「俺が?」と聞き返すのに僕は何も返せず、曖昧にもごもご言ってごまかした。
その日の師匠も「ちょっと出かけませんか」と声をかけると、家事用のエプロンを外して素直にやって来た。
「おう。どこ行くんだ」
「ええと。どうしようかな……」
「決まってないのか」
「師匠の服。買いに行こうと思うんですけど」
「ああ」と師匠は興味なさそうに自分の姿を見下ろした。
師匠はいつものシャツ姿だ。霊幻さんにゆずってもらったやつ。本人も僕もその服が特別お気に入りというわけではないけど、霊幻さんの持ち物だけあって一番しっくりくる。たまに僕のTシャツなんかを着せることもあるけど、どれもサイズが合わなくて、長そでの服が七分袖みたいになってしまう。幸い師匠は合わない服を着せられても文句一つ言わない――代わりに着たい服の希望も全くないらしく、僕は少し困っている。
「お前はどこで買ってんの? 同じのにすりゃいいじゃん」
「え……」あっさり言われて僕は想像してみた。
ところで僕はファッションセンスゼロだ。トメさんという中学のころの先輩に「わかんないなら黒で統一しておけば間違いないわ!」と言い放たれてから、僕はその教えを忠実に守っている。ときどき弟の律が選んでくれる服を除けば、僕のタンスは黒一色だ。
黒づくめの師匠。……ちょっと嫌かもしれない。
「く、黒色って好きですか?」
師匠は眉をひそめた。
「黒? 別に好きも嫌いも……そういうキャラ設定はない」
「…………」
「あーもう懲りねえなーモブ。服の色の話か? お前は好きなんだろ、黒い服ばっかり着てるもんな。だったら――」
「僕も」つられるように言葉が飛び出した。
「好きな色とかは……別にないです。服もどんなのが好きとか……なくて」
僕が重々しく吐き出すと、師匠は一瞬目を丸くして、それからパッと破顔した。
「そーかそーか、最近のお前人間っぽいからさ、お前がアンドロイド顔負けの情緒ゼロ野郎だってこと忘れてた。悪かったな。じゃ、一緒に選ぼうぜ、なに心配するな。二十代後半の男が着そうな服の中から、最高に無難で平均的な一着を選んでやろう」
このあと出かけて霊幻さんとエンカウント
ひととおりやる
オチ
おわり!!