「火星」
     近藤小狸
「ほら、見てください。あの赤いのが火星ですよ」
 菜々美がピンと指を伸ばした先には、確かに赤い点がポツン、と光っている。
「ほら、見えますか?紗彩ちゃん」
 そう言うと、彼女は隣で縮こまっている少女に目を向けた。街灯に照らされたその頬は寒さで赤くなり、喋るたびに白い息が丸く出ては、散っていく。ただ、その瞳は明りに照らされた以上にキラキラと熱を帯び、無邪気に相手のことを見つめていた。
 一方の紗彩は、ニット帽を耳が隠れるくらいに目深に被って、携帯カイロを挟んだ手をしきりに擦り合わせていた。
「そんなにせっつかなくても、ちゃんと見えてるわよ」
 顔を上げ、相手が指した先を見つめる。力強い受け答えとは裏腹に、ずいぶんと険しい表情だ。細めた目をよく見ると、瞳がちょい、ちょいと所在無げに動いている。そんなに分かりづらいものじゃないと思うんだけど。菜々美はきょとんとした表情でその顔と夜空を交互に眺めていたが、ああっ、と一声上げて手を叩いた。
「……もしかして紗彩ちゃん、目が悪くなった?」
「はあ!?」
 今度は紗彩が相手を見る番だった。目をぱちくりとさせて、口が半開きになる。
「や、やだ。そんな訳ないじゃない」
 欄干に手を置いて身を乗り出すと、自信満々に指を伸ばす。
「ほら、あそこにある星でしょ。……チューナーにも見えるわよね」
 急にこっちに振られたので、僕は慌てて手にした星座早見盤にスマホのライトを当てた。
「んー。あれは……アンタレスじゃないかな」
「あんた?」
「アンタレス、さそり座の星だよ」
 指摘を受けると力強く虚空に向けられていた指先は行き場を失い、ふらふらと遊星の軌道を描く。しばらくしてゆっくり欄干に到着した先端を見つめる様子は、端から見るとひどく落ちん混んでいるように見えた。
「いや、あの、紗彩ちゃん。暗かったから私の指の先だって見えづらいし、火星は紗彩ちゃんが指したアンタレスの隣にいたし、ちょっとニアミスなだけだよ。そんな気に病むことじゃないよ」
 おろおろする菜々美をよそに、こっちに顔を向けた紗彩の顔は疑問符を付けているだけで、別段落ち込んでる風ではなかったので、内心胸をなでおろした。
「さそり座って、もっと秋の星座じゃなかったっけ?」
「ええと、それは12星座のさそり座で、今の時期だと夜中に普通に見えるみたい」
「え?夜中?今何時なのよ?」
 聞き返す紗彩にスマホの待ち受け画面を見せる。それを覗き込んだ
「……ちょっ、3時!?」
 
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近藤小狸
こんにちは。
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近藤小狸
近藤小狸です。
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近藤小狸
テスト配信で、ららマジのSSを書いてみようと思います。
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