現パロ 刀さに 大包平
「お花見、したかったね」
久しぶりにふたり揃って定時で仕事が終わったから待ち合わせ、駅まで歩いていた。目に入った躑躅の花が盛りを迎えていて、今年の桜の季節が終わっていることに気がついたのだ。
「ああ、そういえば……すっかり葉桜だな」
今歩いている通りもちらほらとソメイヨシノが植わっているが、あの特徴的な色はほとんど見えない。見渡しても車道をのろのろと通り過ぎていったトラックの排気ガスに巻き上げられた花弁くらいしか見当たらない。
「なんだかんだと忙しいもんねえ、決算もあったし……そっち大変だったでしょ」
「まあな。お前もだろう、今年の数字は荒れたと聞いたぞ」
はー、とため息をついて鞄を肩にかけ直す。このビジネスバッグも決算という修羅場を乗り越えて些か草臥れた気がする。次の休みには買いに行こう。大包平も仕事が落ち着いたタイミングらしく気が抜けたようですこしぼんやりしているように見える。
「そりゃもう大荒れでしたよ……大包平なんなの、部門変わったとこなのにあんなに売り立ててきて。あんなに部門売り上げが上方修正されたの、三日月さん以来だって長谷部先輩が言ってたよ」
すごいね、と彼の顔を見上げたら自慢げに笑い返された。
「ふふん、そうだろう!」