「どうだ、見てくれこの美しく輝くサファイアを! 青く澄んだこの輝きはまさにパーフェクツ! まるでオレの姿をそのまま表したみたいだろう?」
「キィ〜! それはミーが見つけてミーが手に入れた宝石だったはずなのになんでチミに横取りされないといけないザンスか! それをよりにもよってこのミーに見せつけてくるなんて信じられないザンス!!」
「ハッハッハァ〜! 油断したおまえが悪いんだ!!」
窓際の席で高らかに声を上げているのは、近頃大西洋で名を上げているカラ松だ。どうやら目の前に座るイヤミから奪い取った宝石をその張本人に見せびらかしているところらしい。ワイン樽で出来た椅子に足を組んで座り、得意げに語るカラ松相手にイヤミは悔しそうにハンカチを口に咥えて反論しているが、調子に乗ったカラ松には負け犬の遠吠えにしか聞こえないのだろう。美味そうにハイボールを喉の奥に流し込みながら、イヤミの悲痛な叫びも酒と同様に右から左に受け流している。
「悔しいザンス悔しいザンス〜!! そのお宝今すぐここで奪い返してやろうか!」
カラ松の態度にとうとう堪忍袋の尾が切れたのか、ワイン樽の椅子を蹴り飛ばしながらイヤミが立ち上がる。その敵意に応戦するようにカラ松は不敵に笑って腰から下げている自慢のサーベルに手をかけた。先ほどまでの楽しそうな空気から一転して、瞬き一つで殺し合いが始まってしまいそうなピリついた空気が流れる。誰もが息を飲んだ瞬間、妙に間延びした声が店内に響いた。
「おーい。おまえらその辺にしとかないと俺知らないよ〜」
濡れた手をエプロンで拭いながら店内の最奥に位置するカウンターからゆったりとした動作で出てきた人物はこの店の店主をしているおそ松だ。頭に黒いバンダナを巻いて赤いチャイナ服に身を包んでいる。白いエプロンを翻しながらカラ松とイヤミの前に仁王立ちしたかと思えば、二人の頭を右手に持っていたおたまでゴツンと一回ずつ遠慮なく叩いた。瞬間、先ほどまでの張り詰めていた空気が途端に緩む。
「何をするんだおそ松!」
「痛いザンス!」
大人しく頭を叩かれた二人は見事に膨れ上がったコブを摩りながら抗議の声を上げる。その目にはもう先ほど目に浮かんでいた殺気は姿を消していて、あるのは痛みのせいで滲んだ涙だけだ。
「なにすんだって……、おまえらがこんなところで喧嘩しようとするからだろ」
「……っ、」
「まったく、この程度の冗談が通じないなんてチミも面白くない男ザンスね」
少し反省しているようなそぶりのカラ松に対し、イヤミは飄々とそう言うとテーブルに乗ってたワイングラスに手を伸ばした。ワイン樽で出来た椅子に再び腰を掛けて優雅にグラスを回す。その行動を黙ってみていたおそ松はこめかみにピクリと青筋を浮かべて、ワイングラスに唇を寄せているイヤミの頭をもう一発おたまで殴った。その衝動でグラスから溢れた赤ワインがイヤミの服を汚す。
「あ〜! ミーの大事な一張羅が!!」
「なーにが一張羅だよ継ぎ接ぎだらけでボロボロじゃねーか!」
「この服は金銀パール号がまだ立派に航海していた頃から大切にしている服! ミーを侮辱するその言葉、許さないザンスよ!」
「なーにが金銀パール号だよ! とっくの昔に沈んじまった船のくせに!」
「キィ〜!!」
興奮した様子で再び椅子から立ち上がったイヤミと、ここの店主であるおそ松との間で再び喧嘩が勃発しそうになる。その様子に先ほどまでは大人しく様子を伺っていた客は、イヤミの相手がカラ松からおそ松に切り替わった途端に浮き足立ったように声を上げた。
「いいぞ、もっとやれやれ!」
「ホエホエ。元気があっていいダスなぁ」
「ダヨ〜ン」
「どっちに賭ける? オイラはやっぱりおそ松かなぁ」
「ワスもおそ松くんがいいダス」
「ダヨーンもダヨ〜ン」
「おいおい、それじゃ賭けにならねえじゃねぇか」
周囲で好き勝手に賭博を始められていい見世物なのに、自分にはビタ一文賭けてもらえないこの状況にもう一声上げてやろうとイヤミが口を開いた瞬間、カウンター奥の居住区からすらりとした長身の女性が静かに顔を覗かせた。丸メガネが光を反射してレンズの奥の瞳は伺えない。その存在にいち早く気づいたチビ太は両手で耳を塞いで辺りの客に目配せをすると、その視線に気づいた客も慌てて両手で耳を塞ぐ。気が付いていないおそ松とイヤミだけが無防備に睨み合っていた。
カウンターの中の女性がスゥーっと胸いっぱいに大きく息を吸い込んだ。そしてたっぷり三秒溜めた後、自分の境遇に文句を言うイヤミの声を見事にかき消した甲高い怒号が店内を突き抜けて小さな島中に響き渡った。
「いい加減にしなさーいっっ!!」
耳を塞いでいたおかげでチビ太達はなんとか事なきを得たが、島中に響き渡るほどの大声に耳を塞いでいなかったイヤミとおそ松は頭をクラクラとさせながら声の主を振り返った。
「母さん!」
「うっ、効いたザンス……」
未だクラクラとしているおそ松とイヤミを睨みつけて畳み掛けるように松代が口を開く。
「いい加減にしなさいアンタ達! この島では喧嘩ご法度! 殺し強奪は以ての外! この島はどこの国よりも中立で対等なの。それが守れなければこの島へ上がることは許されない。わかっているでしょうアンタ達」
「わ……、わかってるよ母さん」
「ちょっと遊んでただけザンス! 本気じゃないザンスよ!」
松代の説教に後ずさりしながら二人が作り笑顔を貼り付ける。その表情を見た松代は呆れたように長く息を吐き出した。
「まったく。しょうがないわね……」
引きつった笑顔の二人を交互に見てから、松代はくるりと踵を返して再びカウンター奥の居住区へと戻っていった。
松代の姿が見えなくなった瞬間、店内にいた全員が肩の力を抜いて息を吐き出した。中には地面に座り込んでしまった者もいる。
「あーあ、怒られちゃったよ」
「ミーは全然納得いってないザンスよ! 今度海で会ったら覚悟するザンス。ギャフンと言わせてやるザンスよ!」
「俺はこの島から出ないんだから、海で会うとか有り得ねえだろ」
未だに興奮冷めやらない様子のイヤミを遇らうようにそう言うと、先ほど中身が溢れて空になったグラスにワインを注いだ。ちょっとやそっとじゃお目にかかれないヴィンテージワインだ。
「これで仲直り。な?」
にこやかに笑うおそ松と、深い赤で満たされたグラスを交互に見たかと思うと、グラスの中身を一気に飲み干した。プハッと、まるで高級なワインを飲んでいるとは思えないような音を立てて唇からグラスを離したイヤミはおそ松の前にずいっとグラスを差し出しす。
「もう一杯注いでいくザンス。それで許してやるザンスよ」
「はいはい」
「フンッ」
すっかりヘソを曲げてしまったイヤミのグラスに再びワインを注いでカウンターの中へ戻ると、ちょうど勝手口から一松が帰ってきた。
「なに、どうしたの。母さんのすごい声が響き渡ってたけど」
「ああ、大丈夫。もう解決したから」
「……? ふーん」
「それより、どうだった?」
「大量」
にやりと笑って右手に持っていたバケツをおそ松に見えるように掲げる。中には色とりどりの魚が入っていて、おそ松は目を輝かせた。
「おお、今日はごちそうだな! みんな喜べー! 今日のイチオシは新鮮な魚と裏の畑で採れた芋で作ったフィッシュアンドチップスだぞー!!」
「うおおお〜!!」
店内にいる客へのおそ松の掛け声に応えるようにあちこちで野太い声が上がる。嬉しそうな客達の様子に、一松はゆるりと頬を緩ませた。
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一方、窓際の席で拗ねたようにワインを舐めていたイヤミはカウンターの中で一松と楽しそうに会話をしているおそ松を見ながら悪態をついていた。
「大体、初めに喧嘩を吹っかけてきたのはチョロ松なのに、なんでミーが怒られなきゃなんないザンスか」
「チョロ松じゃない、カラ松だ」
「どっちだっておんなじザンス。ああ〜ミーは納得いかないザンスよ」
「んなこと言ったってしょうがねぇだろ。良かったじゃねぇかあれだけで済んだんだから。なあ?」
「あれは相手がおそ松くんだったから許されたんダスよ。感謝するダス」
「おそ松相手じゃなかったらきっと出禁だったヨ〜ン」
「それでも納得がいかないザンス」
「いつまでも拗ねていたらみっともないぞイヤミ」
「元凶が言うなザンス!」
「ほらイヤミ、もう飲んで忘れよう」
「いえーいカンパーイ!」
いつの間にか賭けの中心となっていた顔ぶれが一つのテーブルに集まって酒を酌み交わしていた。イヤミ、デカパン、ダヨーン、カラ松。そしてカラ松と同じ船に乗っているチョロ松と十四松も樽ジョッキに入った酒を煽っている。ここが海の上だったら戦場と化していてもおかしくはない顔ぶれだ。それなのに殺し合いにならないのは、この島は航海する者たちのささやかなこの楽園だからだろう。
この島での喧嘩はご法度。殺し強奪は以ての外。どこの国よりも中立で対等。その方針通り、この島へ一歩踏み入れたら海の上での恨みや争い事は一度船に置き去りにして、こうして酒を交えるのだ。不思議とこの島ではそれが成り立つ。海での生活は常に死と隣り合わせだ。海賊にも全て忘れて息を抜く場所が必要なのか、それともこの島の長である松代がよほど怖いのか。――おそらくその両方だろう。
この島がいつから存在するのかなんて誰も知らない。小さいながらに緑が豊かで水も豊富にあるこの島は、気がついたら此処に在って、気がついたら海を旅する者達の楽園になっていたのだ。
「ああ……もうワインが無いザンスよ…」
いつの間に飲み干したのか、ボトルをグラスの上で逆さに振ったイヤミは一滴も出てこないワインに悲しそうな声を出した。その口調は酔いが回っているせいでどこか舌足らずだ。見かねたチョロ松がワインの代わりに水を注いでやる。
「それを飲んだらもう寝なよ」
「もう少し飲みたいザンス」
「明日後悔しても知らないよ」
「う〜ん……」
もう少し飲みたい、そう言いながらもテーブルに突っ伏して目を閉じてしまった。帽子を被っていた所為でぺたんこになった髪の毛を見つめてカラ松がため息を吐く。
「ダメだなこりゃ」
「めんどくさい奴ダヨ〜ン」
「ったく、しょうがねぇやつだなあ。おーい、トド松!」
おそ松と同じようにカウンターで接客をしていたトド松がチビ太の声に気づいて視線を向ける。テーブルに突っ伏したイヤミを見た瞬間呆れたような表情を作って、カウンターの奥から一本の鍵を持って来てチビ太に手渡した。この店は飲食だけではなく、久しぶりに陸に上がってきた者達のために部屋とベッドも用意してあるのだ。支払う金品に応じた部屋がそれぞれに与えられる仕組みになっている。
「なに、もう潰れてるのこのオッサン」
「ヤケ酒って回るんだよなぁ。そんなオレも、少し飲みすぎたようだ」
「カラ松兄さんには聞いてない」
「……え?」
「ねえ、ボクの力じゃ到底部屋までは連れて行けないからちゃんと誰かが連れて行ってね。絶対にこのまま店に転がしとくなんてことはしないで」
「えー。めんどくさいなあ」
「一緒に飲んでたんだからちゃんと最後まで面倒見て」
「しょうがないダスな」
「わりぃ十四松。こいつ部屋まで運んでやってくれねぇか?」
「あいあい!」
「ありがと十四松兄さん」
「とうっ!」
十四松に両足を担がれてそのまま引き摺るように連れていかれるイヤミを見送って、トド松はデーブルに残って酒を舐めていたカラ松に向かってにこりと良い笑顔を作った。
「ねえカラ松兄さん、さっきイヤミに見せびらかしてたサファイア、ボクにも見せてよ!」
「えぇ……?」
「いいじゃん、おねがーい」
あからさまに嫌そうな表情を作るカラ松に向かって猫なで声を出す。その声に鳥肌を立てたのは横で聞いていたチョロ松だった。
「何その声。気持ち悪!」
「うるさいな。部屋に行かないなら大人しく飲んでなよ」
「ドライモンスターめ。ついこないだは僕に懐いてきたくせに」
「お宝を持ってない人に用はないの! ほらカラ松兄さん早く!」
急かすように手を出したトド松の手を一瞥して、カラ松は再び首を振った。手の中の真っ青でキラキラと光を反射して輝くサファイアを愛おしそうに撫でながら口を開く。
「いや、この宝石は鑑定に出すつもりはないんだ。この美しく、少し恐ろしいほどの深く澄んだ青い輝きはまさにオレを映した鏡みたいだろう?」
「…ふーん、あっそ。じゃあいいよ」
カラ松が持ち込んだ久しぶりの上物に鑑定士の腕を鳴らしていたところだったのに、その宝石に触ることすら許されなかったトド松は拗ねたように唇を尖らす。その表情にくすりと笑って、カラ松は宥めるように穏やかな声を出した。
「今度とっておきのお宝を手に入れた時にお願いするよ」
「とっておきのお宝って、例えば?」
「例えばぁ? フッ、人魚が流した涙の宝石……とかな」
「ダッサ!! そんな古臭い言い伝え信じてるなんてバカみたい。人魚なんて居るわけないじゃん」
「そこまで言うことないだろう」
「そうだよ、海賊なんてみんな夢追い人なんだから夢を見たっていいだろ?」
「ボクは海賊じゃないから兄さん達の夢なんてわからないよ」
「まあ海賊の中でもしっかり者の僕からしたら、確かに人魚の涙の宝石なんて夢物語だとは思うけどね」
「ええ、チョロ松までそんなこと言うのか?」
「言うよ?」
さらりと言ってのけたチョロ松にカラ松は瞬きを数回繰り返した。そのやり取りを冷めた目で見ていたトド松は窓際の席にくるりと背を向ける。
「じゃ、僕はこれで。追加オーダーがあったらまた呼んで」
一度も振り返らずにカウンターへ戻っていく背中を見送って、カラ松とチョロ松は顔を見合わせた。
「相変わらずだなぁ」
「あの態度見てると帰ってきたなって気持ちになるよ」
「確かに」
くすくすと笑っていると、無事イヤミを部屋に押し込むという仕事を終えた十四松が席に戻ってくる。
「ただいま。あー疲れた」
「おかえり」
「ありがとう十四松。今日のあいつの部屋どうだった?」
「相変わらず一番質素な部屋だったよ。お宝をカラ松兄さんに奪われちゃったからかなあ?」
「ぜんっぜん申し訳ないと思わないな」
「確かに」
口々に言いたい放題言いながら樽ジョッキに残っていた酒を飲み干したところで、タイミングよく店の入り口のドアが開いた。そちらを一斉に振り返ると、カラ松達の乗る船の船長である松造が妙に気取った表情で店内に入ってくるところだった。
「父さん、遅かったね」
「ああ、準備に手間取ってしまってな」
「準備?」
不思議そうに首を傾げたチョロ松は、松造の手から下げられている麻袋を見た途端、ああ、と呆れたように息を吐いた。手から提げられている麻袋には、航海の途中で手に入れた金銀財宝がたっぷり詰められている。この島に向かう途中で出くわした商船から奪い取ったものだが、とにかく量が多い。手に入れたお宝の半分以上はあるのではないだろうか。鑑定士のトド松に頼むにしたって、金や銀は必要ないだろう。その袋だけで相当な価値のはずだ。この袋は全て、この島の長である松代に献上されることをチョロ松や十四松、カラ松だけではなく、この船の乗組員全員が知っていることだった。
「また渡すの? 相手にされてないんだからいい加減諦めたらいいのに」
「父さんは母さんに心底惚れているんだ。諦めるなんてできるわけないだろう」
「いやでも、それ貢いでるだけだよね」
「うるさい! 黙っとれ童貞ども!」
冷静な息子に暴言を吐いた松造はそのままスタスタと店の最奥にあるカウンターへと向かった。松造はカウンターの中のおそ松と目配せをすると、おそ松は素直に頷いてカウンター奥の居住区へと消えて行った。おそらく、この店の長である松代を呼びに行ったのだろう。
「……いい歳してよくやるよね」
「惚れた女のことなんだ、仕方がないさ」
「そうだとしても僕たちだってそのお宝を手にする権利は十分にあるはずなのに」
「まあそうは言っても、あれだってこの島を続けていくための費用になるんだから別にいいんじゃない? ぼくらの憩いのためってことだよ」
カウンターの奥から姿を現した松代の前でだらしなく顔を緩ませている松造を三人は穏やかな表情で見つめる。海の上ではあれほど勇ましい父の全身から好意が溢れ出ている様子は少し滑稽だったが、それでいてとても微笑ましいものだった。
「さて、オレはそろそろ休むとするか。二人はゆっくりしていてくれ」
いつの間にか窓からは夕日が差し込んでいる。この島は昼が短いのだ。あっという間に日が暮れて夜が訪れるだろう。
「おやすみカラ松」
「おやすみにーさん。また明日ね」
「ああ、おやすみブラザー」
二人の頬におやすみのキスをして席を立つ。無事に明日を迎えられるように祈りを込めた、幼い頃から海で育ったが故の習慣だ。くすぐったそうに笑う二人に手を振って、カウンターの中に立つトド松からこの島に滞在する間の部屋の鍵を受け取る。渡された鍵は今回も船長である松造の貢物のおかげでこの島の中では上等な部屋のものだ。それが兄弟に各一部屋ずつ与えられる。
接客ではなく、カウンターの奥で黙々と酒を作っている一松にちらりと盗み見る。手元の酒瓶に視線を落としている一松とは目が合わなかったが、その口元は緩やかに弧を描いていた。それを確認したカラ松は満足気な表情でカウンターに背を向ける。
そのまま店の外へ出ると、水平線に沈む太陽が赤く燃えていた。夕焼けでキラキラと輝く波はアルコールが程よく回ったカラ松の目には少し眩しすぎるくらいだ。その眩しさに目を眇めて輝く波を見つめると、胸が少し苦しくなった。陸に上がって一時の平穏に触れても、やはりこの身を焦がすのは海なのだとカラ松は思う。
長く息を吐き出して、太陽が水平線に姿を隠す前に背中を向けて歩き出す。向かうのは此処ではなく島の反対側の海岸だ。設備の整った国とは違ってこの島に街灯なんてものは存在しない。ランタンを持って出なかったカラ松は少し早歩きで目的の地へ急いだ。
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島の東側に当たる海岸は断崖絶壁になっていて、せわしなく波が岩壁にぶつかっている。
酒飲んでしゃべって