君の全てに触れたい3
「あっ♡ あぇっ♡ も、やらぁっ♡ かんにん、して、ぇ……♡」
ローションをたっぷりまとった指先に乳首がじんじんと感じてピュッピュと先走りが止まらない。
「ああ゛っ……!!♡♡♡」
キュッと盧笙が乳首の先端を爪先で抓った。途端にビクビクと全身が震えて……いるのに、盧笙が足先をギュッと握るから、中途半端にイけなくて、ぐるぐると快楽が腰に溜まる。
「も、あかんぅっ……あかんからぁ……♡♡」
「そんなことないやろ? 気持ちええなあ簓。可愛いで」
「ひぅ゛っ、ん……! あ、ろしょ、ゆるして、ゆるひて、ぇ……!」
「何をや?」
止め処ない寸止めに耐えかねて、靴を舐める猫のように許しを乞う簓。盧笙は知らぬ存ぜぬの顔で、とぼけた表情をつくり、それでいて口の端を吊り上げて、「なぁんも謝ることなんかないよ」と優しく簓の髪を撫でた。
ということになったのも。
風呂場でちゃぷちゃぷと粉ローションを混ぜる音がする。
瞬く間に粘性を帯びた液体が出来上がって、湯気のたった浴槽に注がれた。
「そ、それ本気なん……?」
「俺はいつでも本気やでー」
楽しいことしような、と盧笙は笑って今度は赤い縄を取り出す。
「そ、それも……?」
「おん? なんかあかんか?」
涼やかな顔とエグい赤縄がミスマッチ、一周回ってアクセサリーかな? と思うほど。
「き、聞くけどそれ何に使うん……かなー? かなー?」
「そりゃあ緊縛プレイに決まってるやろ。お前頭沸いてんのか?」
「いや沸いてんのはお前や! いきなり緊縛!? ローション!? 属性盛り過ぎやろ」
「ちゃんとゆーっくり滑して仕上げたやつやから安心せえ」
「えっ職人!? そういう趣味あったか!?」
「前聞いたやろお前……オカズ何やって」
「あ……」
ーーそうやった、こいつの趣味(オカズ)は緊縛SM……!
もっとも、本当のところは「躑躅森セレクション白膠木簓48時間」がメインだがこれは秘密だ。
「と、ところで盧笙先生?」
「うん?」
「なんで今日はこないにヤル気満々ですのん」
「……せやから言うたやろ?」
ちゅ、と軽いキスを落とされて頭をヨシヨシと撫でられた。それだけでほんわりしてしまうからいけない。
簓は眦を蕩けさせて盧笙の温かい手を受け入れた。
「ホワイトデー、やからな。うんと楽しませようと思って」
「お、おん……そ、そか……そ、か」
そのまま湯船につけられて、後ろから盧笙に抱き抱えられる。
ハメ撮りは確実に盧笙に届いている。だって既読ついてたし。
罪悪感ーーなんてこれっぽっちも抱かずに尻を好きにさせてきた簓だが、今日ばかりは、というかまざまざと「盧笙は知っている」という事実があるだけに、ギルティな気分にならざるを得ない。
今までは、何となくバレてるだろうけどまあいっか!! のノリだったのに。
それもこれもーー盧笙が、荒っぽく抱いてくれないからだ。簓は男に好きにされること、が好きで、もういっそ無下に抱いてくれた方が興奮するのに、盧笙はその性格ゆえかセックスはごく普通だしアブノーマルなプレイもしない。
今までの男漁りではろうそくなんかも体験してそれはそれはゾクゾクしたのだが。
でもそれも、盧笙という男がいるのにそんなことをしているという背徳感込みで興奮していたのだと思い知った。
そして今、他ならぬ盧笙に不貞を咎められないことに何よりも恐怖と密やかなお仕置きへの期待が自分の中で首をもたげている。
「簓しかしお前ほっそいなあ……いつも思うけど食べてんのか?」
「食べとるよ〜……は、はは」
(他の男のちんぽをな!)
腰回りをローションで滑った掌で撫でられてくすぐったい。
「……ご、ごめん、触り心地悪い、やろ」
他の男だったら気にしないけれど、盧笙が相手だと自分がどう見えるか気になってしまう。
「んなことないで、むしろ細っこくて心配になってまう、かわええな」