やったああああ!! 暗黒SFだああああ!!(2日目)
というわけで「ポーランド暗黒SF4部作」、日替わり上映なので今日も続けて暗黒SFですよ。
今日見てきたのは「宇宙戦争 次の世紀」。
前作とは直接的なつながりはありませんが、やはり全体主義の中の個人を扱った作品となっていました。
舞台は20世紀末。人気ニュース番組の司会者・イデムは、地球に火星人が来訪したというニュースを報道していました。イデムの暮らす街では火星人を歓迎するために自発的に血液を提供するように呼びかけが行われはじめ、ニュースでは連日火星人との出会いを称揚するニュースが報道されます。
しかしこれらのニュースをいきなり原稿を変更させられるという形で読まされたイデムは疑問を感じ上司に講義するも、政府への反逆の兆候ありとして自宅を荒らされ妻を連行されてしまいます。
欺瞞に満ちてなお止まらない社会の流れの中で、イデムはどうするのか――?
率直な感想を言うと「今だった」です。完全にこの2026年の現実世界の話だった。
「宇宙戦争」ってタイトルがもう皮肉なんだよな。宇宙戦争なんて起こってないという……。
昨日の「ゴーレム」でもそうでしたが、本作では特にテレビというメディアを社会に欺瞞を撒き散らす装置としてかなり直接的に描いています。
まず主人公であるイデムが人気ニュースキャスターというテレビを通じて「世界」を視聴者に対して与える立場であり、さらにニュース番組に出る際にはかつらをかぶっている=本来の自分を隠しているんですよね。
そしてそのテレビから流される情報に、民衆は自分の意志などないかのように諾々と従っています。政府が流す火星人への血液提供の要請も、白々しいくらいに「自発的な行動」を強調している。
こうした欺瞞に気づいたイデムはなんとかして真実を社会に知らせようとしますが、決死の思いでステージをジャックしてテレビの生放送を通じての訴えも虚しく、彼の訴えは180度異なる偏向された内容としてニュースで報道されてしまいます。
最終的にイデムは反逆罪に問われて銃殺刑に処されますが、死んだのはそれを報道しているテレビの中の彼だけ。現実の彼は巨大な囲いを開けて、迷うことなく「外」の世界に歩いていく。
パンフレットによれば本作は1981年制作とのことですが、これを2026年3月に見て共感できてしまう、理解できてしまう、とてもフィクションとして片付けられないことに思わずゾッとしました。
「テレビが垂れ流す混沌の中から、皆、都合の良い真実を選ぶ。自分の信念を裏付ける情報だけを受け入れるんだ。受け身であることは美徳で必要なことだと信じ込む」
これをはるか過去の映画の、フィクションの中のセリフとして片付けられるはずがない。
本作、どんなホラー映画よりも「怖い」作品だったかも知れません。