見たい映画がどんどん公開されているので見られるときに見ておかねば。というか明日はもうガルパンだしなあ。
というわけで今日見てきたのはこれ!
映画を見る動機は人それぞれ十人十色でしょうが、その中のひとつには「この世ならざるものが見たい」というものがあると思います。
映画というフィクションの世界だからこそ見ることができる、現実では決して見られない世界。本作ではそんな世界を、デヴィッド・クローネンバーグ監督特有の異常かつ強烈なビジュアルイメージで味わうことができます。
今でこそCGが当たり前の時代となっていますが、やはりこうした強烈なビジュアルイメージは、特殊メイクでしか味わえないなんとも言えない生々しさがあってとても良い。
呼吸するように蠢くテーブルやビデオカセット、銃と融合した手、そして本作の代表的なカットとも言える、歪んだブラウン管テレビから伸びる腕。同じくクローネンバーグ監督作品である「スキャナーズ」や「裸のランチ」でも見られるそうした強烈なビジュアルイメージは、そういうのが好きな人にはたまらないものとなっており、そっち方向のリビドーが急激に満たされるのを感じます。
思えば「ザ・フライ」のときからクローネンバーグ監督はさまざまな形で「ボディ・ホラー」と呼ばれるジャンルを開拓してきました。そもそもこのボディ・ホラーというジャンルは、我々にとってもっとも身近で揺るぎない存在であり「現実」そのものであるはずの「自身の肉体」が、脆くも崩れ去り変容していくというジャンルです。
本作の主人公であるマックスもまた、謎の海賊番組「ビデオドローム」を目にしたことから自身の肉体、そして現実の変容に巻き込まれていきます。この「脆くも変容する現実」こそがクローネンバーグ監督作品の真骨頂なんですよね。
そして本作において、その「現実の変容」を引き起こすきっかけとして登場する「ビデオドローム」という謎の番組。本作は1985年の作品ですが、ネットを開けばいくらでも強烈で刺激的な情報を無制限に摂取できるこの時代に改めて見てみると、クローネンバーグ監督の先見性というか、情報やメディアという「毒」に対する人間のあまりの脆さに驚かされます。今の時代、液晶モニタやスマホの画面の前には無数のマックスが存在するのでは、ひいては自分もまた知らないうちにそんな無数のマックスのうちのひとりになっているのでは……そう考えると背筋に冷たいものを感じずにはいられません。