はい、公開からちょっと時間が経ってますが見てきました「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」。
 いやー最初情報を見たときは「な、なんでククルス・ドアン……?」と意味がわかりませんでしたよ。放送当時にタイムスリップして「2022年にククルス・ドアンの島が単独で映画化されるぞ」とか言ったらどんな顔されるんだろうな……。
 そんな感じで、期待よりは困惑のほうが上回った状態で見てきました。
 それではさっそく感想を。
 ストーリー的なネタバレが気になるタイプの作品ではないのでネタバレ反転はなしで行きます。
 まずすごいと思ったのは説明不要のアムロ役の古谷徹氏ですよ。
 調べてみたら御年68歳で、逆シャア時点ならともかく初代ガンダム時点の15歳のアムロの声を違和感なく演じられるというのが驚愕-PANIC-です。
 対するククルス・ドアンを演じる武内駿輔氏は、逆に24歳という若さであの貫禄を出してるのがすごい。ランバ・ラルと同レベル。年齢詐称してたと聞いても大半の人が納得するでしょう。
 そして考えてみると、今まではネタ方向の知名度が先走ってたエピソードであり、さらにはアニメ関連の専門用語で言うところの「島編」に該当するエピソードである「ククルス・ドアンの島」を本当に映画化してるというのがなによりすごいと思います。
 また、ガンダムということでMSバトルも注目ポイントなんですが、直近の劇場版ガンダムである閃ハサと比べると、アニメアニメしてるというか全体的にヒロイックな見せ方になっていると感じました。
 かなりミリタリー寄りの見せ方になってた閃ハサに比べて、本作はMSが振り向いたり尻餅をついたりと人間っぽいアクションが多くなっています。おそらく意図的にやってるんじゃないかなあこれ。絵面は現代レベルにアップデートしつつも、そうした面では放送当時のロボットアニメの雰囲気を残してる空気感がありました。あとなんか死鬼隊みたいなのが出てきたしな。
 そうした空気感の上で本編から切り離されたいわゆる「島編」をやってるので、いっそう往年のロボットアニメ的な仕上がりになってます。そこに加えて「無人島」「自給自足の生活」「なれない畑仕事」などといった要素が絡んでて、劇場版ドラえもんというかジブリ作品というかそんな感じの印象でした。
 また、ホワイトベース隊の面々が久しぶりにスクリーンに帰ってきたというのが嬉しい作品でもありました。「THE ORIGIN」ではあくまでシャアにカメラが向いてたからなあ。
 そしてこのホワイトベースの面々がまた魅力的に描かれてるんだよな。
 ブライトさん(ブライトさんはいつまでもさん付け)の胃痛シーンの数々、そして2022年に新規作画で蘇った「親父にもぶたれたことないのに!」のシーン、上官からの命令をみんなして煙に巻くシーンなどは本当によかった。
 また、個人的にホワイトベースの面々で好きなカイの出番が多かったのがよかったですね。スレッガー中尉と二人して命令違反を犯して行方不明のアムロを探しに行くところとか、皮肉屋でひねくれ者ではあるものの、なんだかんだでアムロのことを仲間だと思ってるところが好き。
 そして結局セイラさんやジョブ・ジョン、ハヤトも巻き込んでみんなでアムロを探しに行くのが仲間感があってよかったです。初代ガンダムは、初期はホワイトベースの面々もけっこうギスギスしてましたが、次第に結束を固めていく描写が好き。こういうのをまたスクリーンで見られるのは嬉しいですね。
 ドアン側でも、原作に比べて生活描写に尺が大きく取ってあるので、ガンダム作品主人公の宿命とも言える機能不全家族との対比としての疑似家族としての側面が際立っていました。
 今思い返してみると、本作は派手なバトルの尺はそれほど長くはありません。どちらかというと島での日常生活の方に多く尺を取っており、さらにセリフが意外に少なくなっています。今この感想を書いていて気づいたんですが、いわゆる「富野節」もほとんどなかったように思います。本作は空気感や雰囲気で語るタイプの作品になってた印象ですね。MSバトルはあくまでエッセンスにとどまってる感じ。
 しかしながらMSバトルの出来に関しては大満足です。というかアムロ、ドアンザクに不意打ち食らって速攻で戦闘態勢に入れるのさすが連邦の白い悪魔。いやいや1年戦争時点でこの技量かよ……。
 本作では、アムロの駆るガンダムがことさらに強く……というか、ほとんど怪物化なんかとして描写されています。ドアンがガンダムを回収して密かに整備してたドックでの、シートを剥がしたら……のシーンは完全にホラーの文法でしたし。
 そしてラスト、ドアンを裏切り者として処分しに来たサザンクロス隊との対決シーン。巨大クレーターの端からビームサーベル二刀流で登場するガンダム……と同時にもう脳裏にこびりついたBGM「ガンダム大地に立つ」!!
 ああ~アガるわ~強制的にアガるわ~とわたくし劇場で陶然としておりました。歴史ある作品だとこういう事ができるんだよな……。
 そしてククルス・ドアンの島と言えば投石なわけですが、それをまさかああいうふうにアレンジしてくるとは思いませんでした。ラストのあれってそういうことだよな。
 ですがラストのアムロの「戦争の匂いが云々」に関してはお前が言うなオブジイヤーだと思いました。
 あと、本作の予想だにしなかった事柄と言えばなんか知らんがマ・クベの株が異常に上がったことですかね。ほんとマ・クベっていいキャラしてるなあ……。まだ見てないマ・クベファンは劇場へ急げ!
 いやーしかし、まさかククルス・ドアンの島がこうして2022年に映画化されようとは誰が予想したでしょうか。ネタとして扱われることが多いこのエピソードが、こうして言葉少ない寡黙で、しかしメッセージ性のある作品として蘇ったのはガンダム史上においてもけっこうな大事件なんじゃないでしょうか。
 いやーこのクオリティで劇場版3部作映画化してくれないかなあチラッチラッ。
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TOHOシネマズ梅田「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」見てきました!
初公開日: 2022年06月08日
最終更新日: 2022年06月09日
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