「新しい衣装は着られないのですか?」
近づいた白杖の音にのそりと視線を持ち上げる。いつも通りの服装、いつも通りに青いクロッシェを目深に被った少女が、そういって口を開いた。
***
最初からやる気など皆無に等しかった。体調がどうのというわけでもないが、寝起きのように霞んだ頭はどうにも通常通りに動く気がしない。はたしてこちらの心理を読み解くかのように、本日のゲームステージに選ばれたのは、あの酷く陰鬱で壁の多い精神病院と来たものだから、さらにモチベーションは下降のの一途を辿るばかりだ。深紅に靡くドレープの向こう側を覗き込めば、冒険家、心眼、医師、祭司という、よくもまぁここまで揃えたな、と言わんばかりの厄介ぞろいだ。
爽やかさの欠片も無い中庭に放り出され、とりあえず目の前にあった射影機に手を伸ばす。軽いシャッター音と共に、別たれた世界。モノクロの世界に足を滑らせ、靴音を鳴らして。
結論から言うならば、誰一人としてサバイバーを見つける事は叶わなかった。写真世界崩壊と同時に掲げたサーベルも、ただ虚しく空を切っただけ。
最初にシャッターを落とした射影機の前まで戻り、今日は駄目な日だ、と潔く諦めた。
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ジョゼヘレ書き書き
初公開日: 2020年05月17日
最終更新日: 2020年05月17日
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