一章 
 規則的に鳴り響いた呼び出し音が途切れる。
 留守番電話の自動音声の応答を遮るように、軽やかな女性の声が部屋に響いた。
『やぁ、エクター。仕事だよ』
 シャワー上がりの髪を拭く手はそのままに、部屋の主たる男はため息混じりの声を女性に返す。
「また短い休暇でしたねぇ、レナート」
『そう言わずに。休暇は楽しめたかい?』
「あと二日過ごしたらエクアドルに飛ぶ予定でしたよ」
『それじゃあ、エクアドル行きのチケットはキャンセルだね。マカオに飛んで欲しい』
 部屋に用意されていたガウンに身を包み、備え付けの冷蔵庫から取り出したペリエをグラスに注ぎながらエクターと呼ばれた男は問い返した。
「マカオ?」
『そう、“教授”が情報提供してくれてね。最近、急増した行方不明事件を引き起こしている組織へ資金提供しているとみられる社長がマカオで大々的にパーティーを開くんだ』
「その情報、信頼出来るんで?」
『裏取りはもうしてあるよ。今回の情報は信頼出来る。もっとも、あの“教授”の事だからもう二、三何かしらの裏なり思惑なりはあるだろうけどね』
「その思惑や裏がこっちに被害もたらさなきゃ良いですけどね。で、パーティーの日時は?」
 クローゼットにしまっていた衣服を手早く取り出し、あまり多くはない荷物を旅行鞄に入れながらエクターは問い返す。
『約百二十時間後、現地時間の午後六時から。任務の詳しい内容とパーティーへの潜入方法は一足先に現地に入ってるジョルディから聞いてくれ』
「へいへい。荷物纏めたらすぐ飛びますよ」
『頼んだよ。……ああ、そうそう。今回はうちの期待のルーキーも同じ任務に着くから』
 レナート──直属の上司に当たる女性の言葉にエクターは視線を落としていた端末から顔を上げた。
「キロンが教育係についたあの、ペレウスの息子の?」
『ああ、簡単に言えば卒業試験だね。君から見た忌憚ない意見が欲しいって言ってたよ』
「それってつまり試験官は俺ってことじゃないか……」
 荷造りの手を止め、ぼやいたエクターにレナートの苦情混じりの声が柔らかく返す。
『それだけ、君の実力が評価されてるってことだよ。ルーキー君に君の情報は伝えないから』
「つまり、思いっきり翻弄して件のルーキーの任務失敗させてもいいってことですかい?」
『もちろん。キロンから遠慮も手加減も不要なので本気でやってくださいって言付けされたよ』
「ルーキー君も可哀想に」
『本当に可哀想だとはこれっぽっちも思ってないだろう?』
 気の知れた者同士の軽口の叩き合いにくつくつと喉の奥で笑ってエクターは背筋を伸ばした。
「じゃ、この世界の厳しさってやつを教えてやりますか」
『頼んだよ、エージェント・エクター。良い結果が聞けることを期待してるよ』
 電話が切られ、静かになった部屋にエクター──本名、ヘクトールは深々とため息をついた。
「まぁったく……調子のいいこと言ってくれるぜ」
 レナート──ダヴィンチちゃんと名乗る上司が告げた内容を反芻する。
 本来のミッションにプラスして、新人のお目付け役とも言うべき試験官じみたこともしなければならない。
「やぁれやれ……」
 面倒そうに呟く口調とは裏腹に、その唇には不敵な笑みが浮かんでいた。
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45:32
翠雪
スマホ意外とやりにくいな( ̄▽ ̄;)
48:21
かんな
え?  あ、そうか翠雪さんスマホで原稿……(おののいている
49:05
翠雪
YES!(*゚∀゚)ゞ初めて作ったコピー本も全部スマホオンリーで作りました(* ̄∇ ̄*)
59:47
翠雪
ちなみに今、書いているのはアキヘクの某だぶるおーせぶんなスパイパロ。まだレウスもヘクおじも出てきてないけどね
76:24
かんな
……集中力切れると人さまの原稿を読む
77:13
翠雪
分かる(笑)
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向き
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