バーの地下、コンクリート壁の特訓部屋では瑠樺と蓮が息を切らしてペットボトルに入った水を口にしていた。
 疲労が特にひどかったのは瑠樺で、蓮のレベルに合わせた鬼畜な訓練や格闘を強いられたこともあり、休憩して数分が経つというのに今も尚息を切らしている。 
「はぁ、蓮さん少しは手加減してくださいよ……!」
 少しの不満を込めて、瑠樺は蓮へと振り向く。
 その時に視界に映った蓮は、何食わぬ顔でペットボトルに入った水を口に含んでいる。
「手加減したら訓練にならないだろうが」
「それはそうなんですけど……」
 蓮に正論を言われて、返す言葉も見つからず瑠樺は頷くことしかできなかった。
 結局、口にして吐き出したはずの不満は余計に積もる結果となったのだ。
「まぁまぁ、今日はこの辺にしとくのが良いかもしれませんね」
 あまり無茶すると、明日体に大きく支障が出そうですし。
 そう付け足す流夜の笑みはいつだって爽やかで、現状の瑠樺に置いては天使のようにも見えた。
 正直、こんな訓練は二度とごめんだ。
 明日の筋肉痛が容易く想像できるような疲れ方に、瑠樺はペットボトルを置いて冷たい床へと座り込む。
「さすがに、疲れました……!」
 夏日に長時間照らされたかのように、だらしなく伸ばした脚先をフラフラと揺する。
 少し子供らしくもある瑠樺の姿を見て、流夜はその隣へと座り膝を立てた。
「あれあれ、蓮さんのこと守りたいんじゃなかったですっけ?」
「そ、それはそうですけどっ!」
 少し意地悪な言葉と共に、淡い青の目を少し細くしてクスクスと笑う。
 反射的に口を開くも痛い所を突かれてしまい、瑠樺は眉を寄せて顔いっぱいに不満を現した。
「もう、お二人のことなんて知りません!」
 あ、まずい。咄嗟に話した瑠樺自身も含め、変な雰囲気にしてしまったことにその場の三人は妙な焦りを覚える。
 少し幼過ぎる発言をしてしまっただろうか。
 そう思い先程の言葉を取り消そうとするも、今更取り消して意味があるのか分からず二人の顔色を窺う。
「……蓮さん、早く謝った方がいいですよ」
「待ってくれ今の俺なのかよ! どう考えても流夜のせいだろ!」
 突然に始まった蓮と流夜のなすりつけあい。
 瑠樺を拗ねさせた原因である二人が、互いに押し付け合う姿は意外と面白いもので。
「蓮さん、女の子には容赦ないんですからほんと……」
「いや、女の子かどうかとか言ってられなくないか?!」
 本来ならこの口論を止めた方が良いのだろう。
 けれど、二人の関係性を信じている上に、目の前で繰り広げられる珍しい出来事をもう少し眺めていたい気持ちもあった。
 瑠樺は二人の話がどんな結末を迎えるのか興味が湧き、視線を蓮と流夜の交互に向けて静かに見守る。
「ちょっと、瑠樺ちゃんはアンタたち二人だって言ってんのよ」
 ちゃんとレディには優しくしてあげなくちゃダメじゃない。
 そう言って部屋の入口にたたずむのは、バーで仕事をしていたはずの剛希だった。
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るがちゃん
きちゃー
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悲願のバレット 47話
初公開日: 2022年03月27日
最終更新日: 2022年03月27日
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集中するためコメント返せません。あしからず。
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