日向翔陽くんお誕生日おめでとう!今年も日向くんが元気いっぱい過ごせますように。
以下月日♀小話です。
女体化注意。
 たぶん、こういう日を人生最上の一日と呼ぶのだろう。朝から夜までずっと幸せいっぱいな日だった。
 朝起きると大好きな顔がそこにあって、大好きな声が誕生日を祝ってくれた。朝食は大好きなTKGをメインに塩鮭の焼いたのと、なめこの味噌汁に肉じゃが、ほうれん草のおひたし。どれもこれもきらきらして美味しそうで、実際ほっぺたが落ちる心配をしなければならないほど美味しかった。真顔でもぐもぐしてしまって心配をかけてしまったのは非常に申し訳ないことをしてしまったと反省するものである。
 朝食を終え、出かける準備をする。昨日プレゼントしてもらったワンピースにさっそく袖を通した。お気に入りのイヤリングとネックレス、ブレスレットを身に着ける。髪は高く結い上げて元気いっぱいポニーテールに。爪にも桜貝色を纏わせて、化粧も上品に仕上げた。柑橘系の爽やかな香りをちょこんと乗せ、ポシェットを手にすれば準備は万端。姿見の前でくるりとスカートを膨らませて、足取りも軽く外へ出た。
 階段から階下を見下ろすと、そこに蛍が待っていた。とん、と階段に足を下ろす。蛍はすぐ気づいて、眩しそうに翔陽を見上げた。注がれる視線がくすぐったい。まるで尊き星を見上げているような、そんな目だったから。
 ラスト二段に差し掛かったところで手が差し出された。手を預けると、軽く握られる。翔陽が降りやすいようにさりげなく高さを調節してくれたのを不意に感じ取って、頬が熱くなった。
「……うん」
「うん。はい」
 同じ段に並び、視線が交わる。柔らかく目許を細めると、
「よく似合ってる。やっぱり可愛い」
 なんて言うから。
「ドウモ、アリガトウゴザイマス」
 カタコトで返すのが精いっぱいだった。
 蛍の運転する車でまず向かったのは、映画館だった。一昨日もらったばかりのチケットを使って、ずっと観たかった映画を二人で観た。シリーズ最高傑作の呼び声も高いファンタジー巨編は、実際とっても面白くて、わくわくして、二時間あっという間に終わってしまった。
 映画には一家言ある蛍も満足できたらしく、そのあと入ったイタリアンのお店でひたすら映画を褒めちぎった。もちろん、パスタとピッツァもものすごく美味しくて大満足だった。
 午後は映画館に併設されたショッピングモールを二人でのんびり歩いた。日用品や食品の買い物は昨日済ませてあったから、心行くまで好きなものを見て回ることができた。いつもは連れ回しすぎると文句を言わないまでもほんのり機嫌を損ねる蛍が、今日ばかりは大人しくついてくる上に積極性まで見せるので何事かと驚いた。
 アイスパーラーで三段アイスを買っても、いつもなら「まだ食べるの」みたいな顔をするのに、今日は「仕方ないな」みたいな顔をする。誕生日ってすごい。
 そのあと、オープンしたばかりのカフェでお茶をして(なんとここでもシフォンケーキをセットを頼んだ翔陽を見ても蛍は何も言わなかった)、注文しておいた誕生日ケーキを取りに行って、帰路についた。
「楽しかった?」
「楽しかった! ありがとう!」
「それはよかった。僕も、」
 君が楽しそうで嬉しいよ、とさらり言うので、心臓が爆発したかと思った。突然そういうことを言うのはやめてほしいやら、嬉しいやらでとりあえず二の腕辺りを小突いておいた。そういう照れ隠しは可愛いだけだからと返された。撃沈したのは言うまでもない。
 楽しい日はあっという間に終わってしまう。車が駐車場に停まると、大きなため息が出た。悪いため息ではない。満足した、のため息だ。込めた感情に気づいたのだろう、蛍も浮かべたのは柔らかな笑みだった。
 お気に入りの歌を口ずさみながら、ケーキ片手に家の扉を開ける。
「ただい――」
「ちょっと待った」
「ま?」
 元気よく響くはずだった帰宅の宣言は、蛍の手に阻まれた。空いた手が捕まる。
 この一週間、くせになる一歩手前レベルで繰り返した「首を傾げる」という仕種を今日もする。見上げた先には真剣にこちらを見下ろす蛍がいた。
 あれ、この顔いつか見たことがあったなあ、なんて思った。いつだったっけ、確か去年の三月くらいに見た気がする。そうそう、プロポーズされた時だ。あの時もこんな顔してたなあ。
 蛍の緊張が伝わってきて、思わず翔陽は背筋を伸ばした。
「お誕生日」
「はい」
「おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「生まれてきてくれてありがとうございます」
「がんばりました、うちの母が」
「そうですね」
「そうですー」
「…………」
 ふ、と。沈黙が落ちた。嫌な感じのする沈黙ではなくて、必要なそれだとちゃんと理解できた。どきどきと心臓が鳴る。
「……今日から始まる新しい一年が、幸せにあふれる一年でありますように」
 流れ星にそっと祈るような、やさしい声が降ってくる。淡い色した流星をそっと受け止めるように、翔陽は微笑んだ。安堵したように蛍の目許が緩む。
「はい、これ」
「おみやげ?」
「プレゼント。誕生日の」
 ジャケットの胸ポケットから現れたのは、手のひらに収まる小さな箱だった。白いベルベットで覆われた、圭角をなくした箱。
「……ありがとう」
 ああ、こんなに幸せでいいのかな、なんて柄にもなく思いながら、小指に留まった小さな星に目を落とす。この幸せが届くように、めいっぱい微笑めば、蛍は心の底からすくい上げてきたような、そんな笑みを浮かべた。
終了です ありがとうございました!
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HQ!!日向受け作文枠
初公開日:
最終更新日: 2020年06月21日
タイトルのままだよ。
予告なく女体化が飛び出します。日向愛され指向の月日贔屓。完成するかはわからない。途中で消えるかもしれない。そんな枠。
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自由気ままに書く枠。書くかもしれないし、書かないかもしれない。突然止まったら寝たと思ってください。
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